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2025.09.10

能登半島被災地で第3回復興支援 クラブ生ら20名が泥のかき出し「被災地の現状にもっと関心を持ちたい」

 大阪体育大学社会貢献センターは8月28~31日、能登半島地震被災地の復興支援活動のため、学生16名、教職員4名を石川県輪島市に派遣しました。学生は地震や今年8月の大雨被害の復旧活動として泥のかき出しなどにあたり、「ここでは、日常ではありえないことが日常になっている」「ボランティアが少なく、被災地の現状に、もっと関心を持つべきだと思った」などといまだに復興が進まない現状を肌で知りました。

土砂で埋まった池の泥をスコップで搬出する

土砂で埋まった池の泥をスコップで搬出する



大阪体育大学はスポーツSDGsを推進しています

この活動は公益財団法人スポーツ安全協会スポーツ活動等普及奨励助成事業の一環として、助成金の交付を受け実施されます。

能登半島、東日本大震災被災地で復興支援を継続


  大阪体育大学は昨年3月、6月にも能登半島に学生を派遣し、廃棄物の運搬や高齢者の健康活動支援などに取り組みました。また、東日本大震災の発生直後から福島県南相馬市のNPO法人と連携し、学生らが復興を支援する「サンライズキャンプ」を毎年実施。現地の小学校や老人ホームなどを訪れ、高齢者への体力測定や健康づくりプログラムの指導、子どもたちへのスポーツ指導など、体育大学だからこそできる支援を続けています。

1日目 3チームに編成、翌日の活動に備えミーティング


 初日は金沢駅に各自で集合し、レンタカー3台で拠点となる羽咋市の国立能登青少年交流の家へ向かいました。到着後、宿泊のルールについて、東日本大震災の被災地でも毎年、復興支援に携わるスポーツ科学部?池島明子教授(レクリエーション、健康づくり)らから説明があり、食事、入浴のあと、翌日の活動について説明を受け、必要な備品が配付されました。その後、自己紹介のうえ、チームを3つに分け、翌日に備えて早めに就寝しました。

初日のミーティングで説明する池島明子教

初日のミーティングで説明する池島明子教

2日目 地震、豪雨の爪あとに衝撃


 2日目は、午前7時に宿舎を出発。レンタカーで1時間半ほどかけて活動の場となる輪島市へ到着しました。
 輪島市のボランティアセンターで他のボランティアの方々とチームを組み、解体前の個人宅での家財道具の搬出、側溝の土砂のかき出し、民家の床上にたまった泥のかき出しなどにあたりました。
 能登半島は、昨年1月の地震に続き、9月にも豪雨で大きな被害を出し、今年8月にも大雨に見舞われました。
 被災者の方とお話する中で、地震による被害に加えて、その後の大雨による被害が大きく、家屋だけでなく自家用車も使えなくなったと聞きました。家の壁には大人の身長ほどのあたりに泥水の跡が残り、傾いたままの電信柱、倒壊したままの木造家屋がありました。西川友貴さん(教育学部1年、大阪?東大谷高校)が「倒れた家に車が突っ込んでいるところもあり、全然復旧していないと思った。復興が進まないことにもっと関心をもつべきだと感じた」と話すなど、学生は被害の大きさを目の当たりにし、自分たちの活動の意味を考えていました。
 また、現地の方から、万が一の際は1分1秒を争うので、車を駐める時はすぐに発車できるよう必ず前向きで駐車するよう現地の方からアドバイスをもらっていました。

【2日目】出発前に説明を受ける学生たち

【2日目】出発前に説明を受ける学生たち


他のボランティアの方々とも相談、安全のためヘルメットをかぶる

他のボランティアの方々とも相談、安全のためヘルメットをかぶる


2日目の活動は無事終了

2日目の活動は無事終了

3日目 土砂で埋まった池の泥をかき出す


 3日目は、参加者全員が輪島市内の浄明寺の池で泥のかき出しにあたりました。池は、寺の裏山が崩れて土砂が流入して埋まっている状態でした。学生たちは池に入り土砂を袋に詰める係、袋を結ぶ係、一輪車に袋を乗せトラックまで運ぶ係に分かれ、汗と泥まみれになりながらの作業となりました。肉体的にも精神的にも厳しい作業でしたが、合間には飲料などの差し入れもいただき、学生たちは元気に作業を進めました。その様子に他のボランティアスタッフの方々も「さすが体育大学生やなあ」と驚いていました。
 作業終了後は近くの袖ケ浜に移動。地震のため海岸が隆起して漁場が壊滅した様子や、海沿いの道路ががけ崩れにより完全に埋まっている光景など地震の爪あとを目の当たりにし、改めて被害の深刻さを実感していました。宿舎に帰ると、最終日を前にそれぞれ感じたこと、考えたことを話し合いました。

【3日目】出発前に作業について説明を受ける

【3日目】出発前に作業について説明を受ける


土砂で埋まった池の泥をスコップで搬出する

土砂で埋まった池の泥をスコップで搬出する


泥に足を取られる中での作業となった

泥に足を取られる中での作業となった


昼食休憩の様子

昼食休憩の様子



夜、宿舎で作業を通して感じたことを話し合った

夜、宿舎で作業を通して感じたことを話し合った

最終日 池の泥の8割を搬出


 最終日も浄明寺で池の泥のかき出しにあたりました。前日に手のひらをけがした学生も、けがをしていない片手でできる作業をするなど、現地の方の役に立ちたい一心で頑張りました。池は、前日に作業を始めた時には泥で完全に埋まっていましたが、8割ほどの泥が搬出されて池の底が見えるようになり、浄明寺の住職、他のボランティアの方々は作業のスピードの速さに驚いていました。学生は午後2時に作業を終え、お世話になった方々にごあいさつし、近隣の日帰り温泉で汗を流した後、金沢駅まで約2時間かけて移動し、解散しました。
 活動は炎天下で過酷な作業となりましたが、学生は被災者の心情を考え、辛い表情を出さないように努めて、作業にあたりました。

最終日も無事作業を終え、笑顔

最終日も無事作業を終え、笑顔

「活動通じ、支える立場で働くことの大切さを知った」


 硬式野球部男子1年の山下暖生(はるき)さん(スポーツ科学部)は「大阪出身ですが、今年3月まで星稜高校で野球をしていて、石川県は第二の故郷。能登半島の状況は気になっていました」と参加した理由を語ります。ボランティア活動を通して、精神的にもつらい状態のはずの被災者が、他人に優しく接していることに驚かされたといいます。「一番印象に残ったことは、作業後に高齢のおばあちゃんにありがとうと言われたこと。その一言に様々な感情がこもっているように感じ、言葉の重さを実感しました」と振り返ります。将来はアスレティックトレーナー(AT)の資格を取り、プロ球団のトレーナーとして活動することが夢です。「これまで周囲に支えられて野球をしてきたので、今度は支える側で野球に関わりたい。今回のボランティアを通じて、人を支える立場で働くことの大切さを知ることができたと思います」と話していました。

「人を支える立場で働くことの大切さを知った」と話す山下暖生さん(スポーツ科学部1年)

「人を支える立場で働くことの大切さを知った」と話す山下暖生さん(スポーツ科学部1年)

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